体毛雑感

女を装うにも体毛は男性性の象徴になるので
邪魔ではないかという発想は理解ができる。
  
先日知り合いの女装がお店づとめを続けるのに
腋毛を処理したとのことを言った。
毛があるとお客様もお酒がおいしくないのかなと思ってとのことだった。
  
相手にするお客様に合わせて、
己も変えるというのは商売の基本だろう。
ましてや売りにするものが美貌やおしゃべりならば
腋毛があることでそこが悪目立ちするのを避けるために
処理をするというのも理解できる。
商品をより良く見せるため、無駄を削ぐというのも商売の鉄則だ。
  
わかっていて私がなぜそうしないのかというと
女装は商売だと思っていないからだ。
女装は私の一部に過ぎないので、
それに人生が占有されるというのを私自身は納得がいっていない。
  
私が体毛を生やしたまま女装をしてきたのは
一般客を相手にする観光バーではなく
ゲイ相手のクラブだったり、ゲイバーだったりで
男が過剰な異性装をする遊びの文化で育ったからである。
   
確かに体毛の量が人よりは多いので
処理をするのが面倒くさかったというのはある。
だけど、私はゲイバーやゲイカルチャーで育まれた女装文化
という遊びが面白いと思った。だから女装も始めたのだ。
最初からニューハーフさんのように綺麗になるつもりはない。
  
男が男のまま異性装をする。
その際に体毛はむしろスパイスになる。
また、剃毛をするとなると女装へのハードルが上がる。
私は信念で男はもっとみんな気軽に女装をすべきと思っている。
  
だから私は剃らない。
  
昔から毛があったり体が大きかったりすると
出オチで、後、舞台に立っているのが辛くなるよ
と言われたが、見返すために出オチで終わらないショウをやってきたつもりだ。
  
イカルチャーという特殊世界で育った文化を
そのまま一般の社会に出して通じるかという意見もあるが
私は最初からあまり特殊だと思わなかった。
男たちが育てた知的で洒落のきいた文化だ。
それを変えなければ通じないのではというのも
かえってゲイカルチャーに失礼ではないかというのがある。
  
だから私はそのままやっている。
  
かといって別に他の毛を処理した女装たちを責め立てるつもりはない
みんな違う考えで、違うバックボーンで女装をしているからだ。
だから女装は豊かで面白い。
  
もし、この体毛が障害となって広い世界に通じなくても
それはそれでいいと思っている。
体毛のある女装を許容しないようなつまらない世界に
打って出たいとも思わない。
  
私が変わるか、世の中が変わるか、
今はそんなギリギリの対決姿勢が楽しい。
  
とかいいつつ簡単にお金で変わっちゃうかも知れませんけどね。
ふふふ。

というわけで
前半、おっさんモードによる考察
最後ニューレディーモードで
私が毛に関する雑感を書きました。
皆さんはどう思いますか?