最近美空ひばりさんの「柔」という曲にハマっている私です。
  
ひばりさんは
実は私にとってアンタッチャブルな領域だったのです。
今となっては曲やライブ映像などを好んで視聴するのですが、
亡くなった父親がひばりさんのことが苦手で
彼曰く
「最高の素材を、最悪の趣味で味付けしたもの」
と私に教えたため、
小さい頃はあまり好きだと言ってはいけない方だと思っていました。
あと、なんとなく小さい子供にとっては怖そうな存在でしたし。
  
大人になって客観的に見れるようになって、
たしかに「悪趣味」という人もいるだろうなと理解できるのですが
私が悪食なのでしょうか、やっぱり素晴らしいんですね。
だから、私は親の教えに背いてまでも、愛してしまうのです。
I'm sorry, Papa...
  
今では「ひばりのすべて」という映像作品を繰り返し見て、
コマ劇場でひばりさんが裏方の人に飴を要求する姿と
帝国劇場で真帆しぶきさんに腕の怪我を「けんかでもしたの?」
と聞かれるシーンを見て、ニヤニヤするくらいのファンです。
  
で、「柔」について。
きっかけは先日放送されていたミュージックポートレートという番組で
松坂慶子さんが人生の10曲の中で出した曲がこの「柔」でした。
松坂さんが若さと美しさでブレイクして、
いろいろな作品に重要な役で出るようになって、
自身のキャリアや実力とのギャップに悩んでいた時に聞いた1曲ということで
この曲を紹介していました。
  
女優さんのお仕事というのは男らしい仕事だなと思っていましたが、
この超絶男らしい「柔」という曲を聴いて
自分を鼓舞していたのだなという話を聞き、
ますます松坂さんが好きになってしまいました。
  
しかもこの超「男らしい」曲を歌っているのが
女性の美空ひばりさん。
  
以前、
異性に増幅される性 http://d.hatena.ne.jp/nikuyo/comment?date=20140617
という記事でも書いたのですが、
私は異性の中に発見するその逆の性について
かなり弱いみたいです。
  
もう、混乱ですよ。
女性が男として柔道の歌を歌っていますし、
それを女優が自分を鼓舞するために聴いていますし。
  
でもそんな状況すべてがたまらなく愛おしいのです。
  
柔の歌詞の素晴らしさはやっぱり出だしの
「勝つと思うな 思えば負けよ」というところだと思っています。
「勝とう」「勝ちたい」言う雑念を持った時点で、
「負けだ」とする思考方法は、わが道を進むと決めた人間にとって
とても重要な考え方を提示してくれています。
わが道を行くなら負けてもともと、だけど一生一度の何かがあるんだという歌詞で、
異端の道を歩くと決めたにしては、まだまだ中途半端な私には耳が痛い話だな
と思いながら聴いています。
  
ステージに立つ時、
私はどうしても人に上手いと言われたい、
どうしても一緒に出ている人に負けたくない、
という気持ちが出てしまうのですが、
異端の道を進むと決めた以上、負けてもともとで無心で取り組まなければと
思いました。  
  
松坂慶子さんがこんなに真摯に仕事に取り組んでいたのだから
女装ですが帯をきつく締め直さないと、と思い毎日聞いています。
ふふふ。