マラソン 女装 人生 3

女装でマラソンを走る。
別に女装で無くて、普通に走っても良かったのです。
でも何年も応募していて、やっと当たった参加の権利。
これを逃すともう一度は無いかもしれません。

以前から自分が見られる立場になることで
かえっていろいろなことを見る、知ることになるという
経験がある私は、やはり人生をかけての癖(へき)となった
女装で走りたかったのです。

この先、女装でやっていくにしても、
昼日中に多くの人に見られるということは
とても壮大な実験でした。
私から滲み出るものが不快だったり、
陰気なものだったら
受け入れられないだろうし、
罵声を浴びせられたりするかもしれません。

自分が何処まで極限状態で、
人から受け入れてもらえるか、試したかったのです。
パレードなどのように、みんなで集まって可視化する
というのもアリだと思いますが、
こうやって自分の方から一般社会に混じりに行くという方が
私には性に合っています。

ある意味、強制的かもしれませんが、
一般の社会の寛容性や許容度に
一石を投じてみることをしたかったのです。
もしかしたら、これは私にとっての
リベレイションの一つだったのかもしれません。

だから、ふざけた気持ちだったり、
中途半端で止めるようなことだけはしたくありませんでした。
朝、大勢のランナーの人に混じり、一人ぼっちで
受付を済ませ、一人ぼっちで、列に並び、走り始める。
前日は頭が冴えて眠れなくなっていましたが、
自分なりにできる範囲の真摯な姿勢でスタートし、
走り始めました。

当初の予定では音楽を聴きながら走る予定でしたが、
始まってみると、沿道からの応援や、
呟きが面白くて、音楽も聴かずに走り続けました。
途中、気力も脚も限界になったところからは
みゆきさんの歌の力を借りましたが、
それ以外はだいたい、皆さんの声や表情などを見て、
あれこれ考察していました。

ポジティブ過ぎるかもしれませんが、
自分は「いてよし」と言われたような気がしました。
素直に応援してくださる方もたくさん居てくださって、
本当にありがたかったのですが、
個人的には途中何度かあった、
「何だかもうわけわからないけど、頑張れ!」
という言葉に今後の活路を見出せた気がします。

女装とか、濃すぎる化粧とか、奇抜なファッションとか、
デカいとか、赤いとか(当日は赤い衣装を着ていたので)、
いろいろあって、
でも、何かわからないけど
応援したくなる魅力をつけていくことが、
これからの自分の進むべき所のように思えました。

取り急ぎこれで終らせるために
無理くり纏めてみましたが、
本当は、後10回分くらい書きたいです。
でも、いろいろお知らせとかもあるので、
このくらいでいったん切上げます。

最期に蛇足として、
実は化粧直しを一度もしなかったのですが、
夜のショウもほとんど直さず、
口紅に白を重ねただけで出たことを報告します。

上記の事柄より推察できるように、
私、マラソン終了後、
シャワーも風呂も入らずにそのままショウをしていたのです。

マニアには堪らない情報ですね。
堪忍え。