化粧

先日、「化粧 二幕」という芝居を観てきました。
女優の渡辺美佐子さんの一人舞台です。
渡辺美佐子さんといえば昔のTBSのドラマ「ムー」うさぎやのおかみさん
という程度の認識でした。

友達がこの「化粧 二幕」というお芝居に協力していて、
私が面白いと思うだろうと、薦めてくれました。

結論としてはとても良いお芝居でした。
75歳で2時間近い舞台を一人きりで演じ通す、
それもお客様を飽きさせることもなく。
これは森光子さんの放浪記にも負けない素晴らしい挑戦で、
すでに初演から600回も重ねているというのもこれまた素晴らしい記録で
あると思えるのでした。

大衆演劇の楽屋が舞台なんでしょっぱいお話で
いろいろな意味で昭和を感じるのですが、
舞台に心を奪われた者、
化粧で心に鎧を着せることを覚えた者が抱える哀しい性
を描き出し、それは時代を超えて胸に深く突き刺さるのでした。

化粧

というと私は以前は大して興味がありませんでした。

私はよく公言していたのですが、女装は私にとって手段でした。
変わったことをすることで自分をいろいろな人に認識してもらうための手段。
特に目立った才能も芸も無い自分にとって、いろいろな人と交流するための武器。
それが女装でした。

でも女装でショウを作っていくうちに、
また舞台の照明を浴びるうちに、
その行為自体の面白さに惹かれていきました。

今では女装は私にとってとても大切なものです。

そして女装をする上で、欠かせないのが化粧です。
化粧という行為は私を日常から非日常へ連れて行ってくれる
大切な行為です。

化粧をすることで非日常を生きる決意が生まれます。
だから、私はあまり上手ではないけど、自分でメイクします。
段々メイクもうまくなって、最近では少しは綺麗になったような気がします。

変身する過程も含めて女装。

それを痛切に感じるようになったのは最近のことです。

だから私、これからますます綺麗になっていくんじゃないかと思っています。