信念 グラン・トリノを観て感じたこと

今日は会社帰りにグラン・トリノを観てきました。
とても良い映画でした。

観終わった今でも感動は続いています。

本当にとても素晴らしい。

アメリカのブルーカラーの典型的な頑固オヤジの話だったのですが、
あまり自分と共通点もないこの人に、私はとても感情移入してしまいました。

自分にとって大切なものとは?
守るべきものとは?
生まれ来る後輩に伝えておくべきことは?
何のために生きているの?
と問い続けること。
どう生きたいのかを考えること。
なりたい自分を持っていること。

それが信念を持つということだと思います。

クリントイーストウッドはそこをよく解っていて、
表現の仕方も憎らしいほどうまいなと思います。

私はミーハーな女なので、
「ミリオンダラーベイビー」
チェンジリング
そしてこの「グラン・トリノ」という
映画しか観ていませんが、
この人が描こうとしていることの共通点、それが信念です。

みんな主人公はキャラクターが違うけど
自分の大切なものを守るため
自分の信じていることを守るため
葛藤しながらも戦い続けることをやめない人の美しさを
教えてくれます。

私は「グラン・トリノ」は男が主人公だし、
典型的アメリカのタフガイというのは自分と
まったく共通点がないから、正直楽しめるか不安でした。

だけど、観ていくうちにこれは彼のスタイルであって
それの違いだけだっていうことに気付きました。
そして、彼のコアを見つめているうちに、
自分と同じような葛藤や喜怒哀楽があることに気付き、
彼の優しさ、強さ、なりたい自分になるという信念に
心を動かされました。

これは「チェンジリング」の主人公の女性が
自分の息子を探し出すことが生き甲斐と信じ、
周囲の情報に惑わされず、自らの手で探し続ける姿勢とも共通し、
「ミリオンダラーベイビー」の自らのディグニティを証明するために
リングに上がり続ける主人公の姿勢とも共通します。

人は見えるものに弱いから
その人が持つスタイルに魅せられ、
スタイルを確立することが、自分を確立することだと錯覚します。
私もそういう風に思うことがしばしばありました。

でもスタイルは信念を貫くための手段でしかないのだ
ということがハッキリしました。

だからこれからはスタイルで人をカテゴライズして、
勝手に決め付けるのも止めにしなければと思いました。

曇りなき眼でその人の信念を見る。
そういう人に私はなりたいと思いました。

33歳の最後の夜にこの映画に出会えてよかった。

ありがとう、クリントイーストウッド