きれいはきたない きたないはきれい

昨日、木島被告のことを書いてから、
何処かで木島被告と相似するものを間近で見た気がして、
いろいろ考えていました。
そして、やっと思い出しました。

それはゲイ業界の細分化された専門領域のチャンピオン達です。
専門領域とは俗に「○○専」と呼ばれる恋愛ジャンルです。
有名なものに「デブ専」「フケ専」などがあります。
これらはストレートの人々でも既に使われていますね。

私が遭遇したのは「デブ専」のチャンピオン達です。
それは私が20代でゲイ業界にデビューしたばかりの頃、
ふとしたきっかけでデブ専の人の集まる会合に行ってみようと思いました。
当時の私は今よりも更にぽっちゃりしていましたが、
一般的な基準で言うイケメンにも近いと認識していましたし、
素顔は歌舞伎役者にも似ているなんて、よく言われていたので
自信満々で、デブ専界のカリスマになったらどうしよう、
などと期待しながらその場所に向かったのでした。
そして、その期待と自信は見事に裏切られることになるのです。

私がその集いに行って目にした光景は
威張った巨デブ達がたくさんのイケメンをかしずかせている姿でした。
私はその集いの中では中途半端なデブで、
デブ専の人達からは目もくれられませんでした。

一般的な感覚では私よりも遥かに容姿の劣る
顔が肉に埋もれ、鼻息が異常に荒くて、目が糸のようになっているデブが
私よりも遥かにモテて、尊大な態度で菓子パンと500mlのカフェオレを
頬張りつつ、得意気にそこに佇んでいたのです。
負けでした。私の完敗でした。
内館牧子先生風に言うと「お笑いです。私は道化でした。」ですね。

私は必死に敗因を分析しました。
モテナイながらも悔しくて、その後もその集まりに通ってしまいました。
何故? 何故? WHY? WHY?
私が導き出した結論は、私の知らなかった価値観が世の中にはあるということでした。
一般的な美醜ではなく、肉があるかないか。肉の量の多寡こそが価値基準。
厳密に言うと、肉ではなく脂です。

そして、一般社会や学校社会で虐げられてきたふくよかな人々が
自分に需要があると気づくや否や、急に自信を持ち、
今までの反動で尊大な態度になるという結論に至ったのです。

木嶋被告もきっと自分に需要があるということに気づき、自信を持ち、
学生時代や一般社会で虐げられた反動で、
強気な態度に出るようになったのではないかと思います。

この体験から、私が気付いたことは
自分が一般的、唯一だと思っていたマーケット以外にも
マーケットは存在するということです。
つまり自分が気がついていないだけで、自分にとっての
ブルーオーシャンが必ずある。
市場開拓というのはだから人間にとっても
企業にとってもとても大切なことなのです。

私が無謀にもニューレディーという市場を開拓しようとしているのは
その教訓があるからかもしれませんね。