北の方の人とすすきの

練炭を使うというのは北の方の人の発想」
という言葉が木嶋佳苗被告の裁判で使われて、
その言葉を聞いたときの木嶋被告の反応が
佐野眞一さん「別海から来た女」と北原みのりさん「毒婦」で
描写がまったく違うという
読み比べポイントになるキーワードがありました。
 
「北の方の人」
 
今回の北海道旅行ではこの「北の方の人」について、
私なりにずっと考えていました。
 
人間を大雑把に地域性で片付けることは決してできません。
だけど、非常に大まかではありますが、地域性に影響を受けた
傾向があるのは確かではあります。
今回、北海道を旅して、開拓、公営といったキーワードが
頭の中に浮かんできました。
北海道は日本の中で国境を接する地域でもあるので、
開拓は同時に北部防衛という意味も持っていたのです。
米ソ冷戦の真っ只中の頃、北海道は自由主義圏の最前線でも
あったのです。そういった地域性や公共性もあいまって
公営の施設が多いというのが印象に残っています。
それは国だけでなく、道、市などの地方自治体を含めてです。
 
対照的にすすきのという街は
日本の三大歓楽街の一つに数えられるほどの
中小の飲食レジャー産業が集まる街です。
私は申し訳ないのですが、街の規模に比べてこの
歓楽街が必要以上に大きいと思ってしまいました。
 
北の方の人は陽気な人が多いから
飲んで騒ぐのが好き、あとは観光客が多いから、
そう結論づけても、それはそれで良いとは思います。
ただ、私はどうしても開拓、公営という単語のちらつきを
抑えることはできませんでした。
 
そして、その単語のちらつきから
ある二つの仮説を思いつきました。
 
公営というキーワードからは
中央にしっかりとお金を落とさせるための接待場として
すすきのがあったという仮説。
 
開拓というキーワードからは
開拓で北海道に進出した人々が
さびしい思いをしないように
慰安する施設の充実が必要だったという仮説。
 
オリンピックを誘致し街がどんどん大きくなるにために
すすきのが北海道の接待場として中央からお金を落とさせ、
街を作っていく人たちに癒しの場を提供し、発展のための力を補充した。
 
そんなことを思いながら札幌駅からすすきののホテルまで
街を歩いていました。
大通り過ぎまで「虹と雪のバラード」を聞きながら
無から街を作っていった素晴らしさに感動し、
大通りを過ぎてすすきの交差点あたりからは
頭の中に「恋の街札幌」がかかり、
「北の方の人」たちのきれいごとだけでは片付けられない
「逞しさ」のようなものを感じ、背中がゾワっとしたのであります。
 
北海道、奥深いです。
 
あと、やっぱり寒いところの人は
北欧も含め、ロマンチックなのではないかとも思いました。
寒いから暖めあう、そんな自然な感情が涌きやすいんですかね。
 
最後のは邪推です。
ほほほ。