トリックスターの自覚

私はお店に立つ時、お仕事なので自分の役割というものを考えます。
そうした中で、女装の役割というのは
トリックスターなのだなと最近腑に落ちたのです。
 
言われてみれば当たり前のことですが、
実感として腑に落ちたというところです。
 
ちなみにトリックスターというのは空に輝くスター(STAR)の一種ではなく
最後のスペルも違うTricksterです。お話を引っ掻き回す人です。
ペテン師なんていう訳もありますね。それはそれでいいのですが。
 
私の女装時の役割はジェンダートリックスター
性のイカサマ野郎といったところでしょうか。
男性性と女性性に縛られた価値観を引っ掻き回してごちゃ混ぜにする。
そのミックス感、解放感の提供ということに尽きるのだなと思います。
  
だから私は男性性も女性性も残したままの姿でありたいのです。
 
人生が物語だとすると。
ニューハーフの方や性同一性障害の方、最近街でみかける男の娘と
いわれている人たちは、女装時には女性としてのストーリーを生きたい方です。
一般的なゲイの人たちも男性として男性を愛したいので
男性としてのストーリーを生きたいと思っている方が多いようです。
 
セクシャルマイノリティーの中でもそういった方向性の違いがあるのだなと
思いますが、でも、別々な必要もないし、曖昧でいいし、新しい価値を感じたい、
そういう欲求を持つ人もたくさんいるのです。
 
そして、時代の流れでそういった欲求は一般の男女の間でも起こるようになりました。
だからかき回す役の人が必要になって、
それがニューレディーの仕事なのだと最近は思います。
 
実際にやっていることはお酒を運んで、注文をとって、
他愛もないお話をしているだけですが。ふふふ。
そのファッションで、その肉体で、そのメイクで
イカサマぶりを発揮したい。そんなことを考えています。
 
今まで曖昧だったものがはっきりしてきた気がするので
しんどい時もありますが、
おっさんになってから、お店に入って女給として働き、
人と交わって良かったなぁと思ったのです。
 
なんてね。