Anchor

人生は船旅によく例えられますが、
船についている錨(いかり)という道具は人間にも付いているなと最近思います。
錨とは重しであり、水底に引っ掛けて船が動くのを止めるためのものです。
  
喜怒哀楽、その他いろいろな感情や思いで
人間の心が動く時、
動いたままになって戻って来られないことのないように
心には錨がついています。
  
たとえば
かなしい時にはおかしいことを
よろこびの時にはかなしいことを
たのしい時にはつまらないことを
さびしい時には家族や友人達のこと を考えて、
心の錨を下ろして
心がいつでも帰ってこれるように布石を打っているように思います。
  
「無常」という言葉がありますが、
とどまることなく変移するのは、真の意味の変移や変化ではなく
自分で錨を下ろした地点に戻ってくるからということが大半である気がします。
  
でも、人間には
港を変えたいと思うことがあります。
自分の環境を変えたい、変わりたいと願うことがあります。
   
その時に錨をそのままにして動くと
思うままに進めません。
その時には錨を上げなければならないのです。
  
難破船になってしまうかもしれない
漂流してしまうかもしれない
港に居た方が安全だったかもしれない
もう家族や友人に会えないかもしれない
しかし錨を上げてみたら、その船は宙を駆け上がることのできる
宙船(そらふね)かもしれない。
  
港で過ごすのも素晴らしい人生
錨を上げるのも素晴らしい人生
 
いずれにしても願うのは
ボン・ヴォヤージュ
  
あなたは今どんな船旅をしていますか?