香華

先日新橋演舞場で開催中の「香華」を鑑賞しました。
個人的に大好きな有吉佐和子先生の原作で
映画化、舞台化されている作品です。
   
4月に日生劇場でのレビューと越路吹雪トリビュートのショウを
見させていただき、とても素敵だったピーターさんが
郁代という山田五十鈴先生の当たり役をされるということで
とても楽しみにしておりました。
  
せっかく良い舞台を観に行くので
予習をと思い、小説を読み直し、今まで手をつけていなかった映画も見て
舞台に行きました。だから、このところの私は紀州女性の訛りがふと
出てきそうなくらい、香華に包まれて生活していたのです。
  
作品の背景としては女性の社会進出がまだまだだった時代における
女性のキャリア、生き方というのが大きなテーマで
キャリアを重視して渡世をする娘・朋子と
オナゴ力を駆使して渡世をする母・郁代が
戦前、戦中、戦後を生き抜いていくというお話でありました。
  
山田五十鈴先生の実際の舞台を残念ながら劇場で見たことがないので
なんともいえないところですが、
ピーターさんが何度か五十鈴先生に見えました。
それくらい関西訛りの台詞、人を食ったような、だけど魅力的な表情、
美しい所作が、とても自然に再現されていました。
  
郁代という役は「ド女」「女の中の女」という役なので
むしろ「女役者」を自称されていた山田五十鈴先生や
今回の「女形」のピーターさんがされた方が、
より客観的にデフォルメをきかせて演じることができるのではないか
と思いました。
今回の郁代という役を通じて、改めて「女装」「女形」の一つのベクトルを
きっちり提示されたように思います。
  
私は「女形」ではなく「ニューレディー」ですが
大いに芸の参考にしようと思いました。
やっぱり、私も女装の時は「女性らしい女性」になっているように
思いますので。
「だったら毛を何とかしろ」とよくお叱りの声もいただきますが
「だからそれがニューレディーなんだよっ!」
といつも説明をするのに苦労します。
険しい道を進むことでなんとなく自分を鍛錬している私です。
  
舞台ではラストの演出が素晴らしかったです。
あのシーンは映画でも、山田五十鈴先生の舞台でもなかった
今回の新しい発想です。
  
あのラストの演出方法を見るだけでも
今回の価値はあると思います。
新橋演舞場ならではの演出で
あのラストがあったおかげで
とても後味の良い芝居になりました。
演出の石井先生もさすがです。
    
22日までの上演とのことです。
http://www.shochiku.co.jp/play/enbujyo/schedule/2013/7/post_113.php
  
お店などで「香華」のお話ができると楽しそうですね。
ふふふ。