社交場

酒場について
私もお店に入る前はあまり真剣に考えてきませんでしたが
お店に入っていろいろな出会いをするうちに
辿り着いた一つの結論があります。
 
酒場は社交場なのです。
 
お酒の力を借りて、お酒の作用を味わいたければ
家飲み、もしくは居酒屋飲みをすれば良いのです。
事実、享楽的と言われるゲイの皆さんでも、
お酒を楽しむ方は家飲み、居酒屋飲みが増えているようです。
もしくはそういうのが面倒くさいからお酒自体に
関心が無くなる若者も最近は多いようです。
  
普段、仕事で凄く気を使っているのに
自分の自由時間に、お金を使ってまで
交際範囲や知己を広げる必要がないというのもわかります。
私自身も仕事が凄く忙しくて、慣れない時にはそうでした。
  
また、酒場に行くと
経済的な格差、違いというのを知ることになります。
お金を払ってそんな思いをする必要があるのか、
お金を払って、見栄を張ったり、卑屈になったりする必要があるのか?
だったら行かなくて良い。
自分の好きなことに、お金を使ってもっと生活を豊かにしたい。
 
私もそうでした。
虚栄心のために無駄だと思うお金を使うよりも、
自分に投資をしたい。というのは非常に納得がいく理路整然とした思考です。
  
机の上の話ですが。
  
実際の世の中は理不尽なことばかりで
社会に出ても、ある一定のレベルを超えると
理論や理屈でどうにもならないことが増えてきます。
正しいと思えることを言っている、やっているのに思い通りにならない。
  
なぜなら世界は机上の論理で回っているのではなく
虚栄心も見栄も卑屈も格差もあるそういう人間たちが動かしているのです。
  
大きな会社などに入っていると、特に役職のない時などには
歯車の一部で、機械的に働くことで成立することもあります。
   
今の時代はハラスメントに対する規制が厳しくなっているので
宴席も断ることができるでしょうし、
自分の世界を広げることに夢中になることもし易いでしょう。
  
でも、ある程度の役職を超えて、部下を持つ時、社外の人間とのコミュニケーションをとる時、
もしくは家族の中で、社会の中で責任を持つ機会が増えてくる時、
相手にするのは生身の人間です。
その人間を相手に、
言うことを聞いてもらったり、教わったりしながら、
うまくやっていくしかないのです。
  
そんな時に酒場で経験した、
さまざまな面倒くさい事象がヒントになるのです。
そして、酒場では酒という増幅剤を媒介に、
テニスで例えると普段より深いストロークのラリーができます。
また、自分の世界、仕事の世界、家庭とは別のコミュニティーができます。
そこは実際には無力かもしれませんが、
自分が行き詰った時に逃げ込む避難場所、クワイエットルームのような
役目を果たす時があるのです。
  
だから、私は今は確信を持って言えます。
酒場においでよ。
飲めないならソフトドリンクで良い。
ホステスにごちそうしなくても、頭を使う、気を使うことで
そこを楽しい場所に変える知性を持つこともできる。
  
もちろん酒場も資本で動いているので
ある程度のマナーや礼儀は必要ですが
それって普段、生きている時も求められるマナーや礼儀と
変わらないように思います。
  
酒場は社交場であり、
人と人が交わることは
そこに摩擦や刺激が生まれ、
人間社会の縮図が出来て、さまざまなケーススタディーを
見ることができるのです。
  
なんてことを思いながら
そこに立つ意味を考えつつ、
お客様を観察しつつ、お話をしつつ、昨夜も働いていたのです。
ふふふ。