化粧を自分でする女装 しない女装

女装というと広いカテゴリーを示す言葉で
女性の装いをするもの全般を指します。
以前、上海に女一人旅をしてきた時、
百貨店やショッピングセンターに入ると
売り場の案内に「女装」「男装」と書かれていて
あぁ、なんと住みやすい国かと思いましたが
単なる女性衣料売場、男性衣料売場という意味だと
10秒で気がつき、落胆したのでした。
 
まぁ私のつまらない落胆の話を今日はするのではなく、
女装の中での微妙な違いを書いてみたいと思います。
 
先日、とある店で女装をするマスターと話をしていました。
そのマスターはお水歴20年を超えるベテランです。
そして女装歴もお水歴とほぼ同じという女装のベテランでもあります。
 
でも、そのマスターは女装をする時、自分で化粧をしないのです。
普段は女装をしないし、自分ではうまくできないし、
女優みたいな気分になれるからということで
メイクを人にやってもらっているということでした。
 
へぇぇ。と思いましたが、そういえば2丁目のマスターが
周年パーティーで女装をするのをたくさん見てきたのですが
自分で化粧をしない人がほとんどだったということを思い出しました。
 
私も普段は女装をしているわけではないのですが
化粧は自分でします。
まぁよく雑だという批判は受けますが、
女装をする時に自分でメイクを行うことに特に抵抗はなく
そういうもんだと思ってやっていました。
 
そんな私も初めての女装の時こそ
先輩女装にメイクをしてもらいましたが、
4回目くらいからは自分でやっています。
なんでかというと、私の場合、ショウ前にメイクをやってくれる
先輩女装が自分もショウをやる前でイライラしているのに
他の女装のメイクもしなければならないということで余計イライラしている
空気を感じ、おっかなく思い、自分でやりますという自然な流れになったからです。
 
自分で化粧をするのに抵抗はありました。
当時はネット通信などない時代なので、
リアル店舗で化粧も化粧道具も買いました。
初めてそれをする時は背徳感を感じたのを覚えています。
 
そんな私の女装ライフの強い味方は新宿オカダヤ3階Bフロアーでした。
舞台衣装、舞台化粧のところから、演劇関係者のようなふりをして
ドーランやリキッドアイライナーを揃えたものです。
 
今となっては別に化粧道具を買うのはどうってことないですし、
通販も充実しているので、容易に道具をそろえられます。
良い時代になりました。
 
で、私が今日何がいいたかったのかというと
男が化粧を自分で行うということは
ある種変態性の踏み絵だなということを感じたからです。
 
男性にとって、自分で化粧をする方がリスクがより高いのです
化粧道具の所持がバレるリスク、化粧品を買う際の好奇の目に晒されるリスク、
男が自分の意志で化粧をするという社会常識上の背徳のリスク。
 
結果として同じ女装なんですが、
自分で化粧をする女装の方がリスクが高い。
でも、続けていくうちにリスクと思っていたことに対して
ある種感覚が麻痺していくのでしょうか、
今の私はどうってことがないようにことに思えます。
 
むしろリスクだと思っていたことが
自分の心が作り出した畏れや社会常識に対する
懐疑心の無さというのが原因だったのではないかとさえ、
思うようになっています。
 
かといって、自分で化粧をしない女装をどうという気もおきません。
女装はいろいろあっていいし、いろいろな考え方があっていいし、
それぞれが考えるリスクはいろいろあって良いのです。
違法行為ではないのですから。
 
大らかさこそが女装の女装たる所以と私は信じているのです。